子どもの自殺の背景に、実は「いじめ」が14件=文科省、再調査でゼロを訂正
1999〜2005年度にいじめを苦にした児童・生徒の自殺件数が文部科学省の統計でゼロとされていたが、同省が99年3月から06年10月までの、自殺とされた41件のケースについて調査した結果、14件でいじめが確認された。
3件は、「いじめが主たる理由」とされた。
- 99年10月に堺市の高校1年女子生徒(当時16)
- 05年9月に北海道滝川市の小学6年女子児童(同12)
- 06年8月に愛媛県今治市の中学1年男子(同)
このほか、いじめはあったが、自殺の理由は
- 「主たる理由ではないが、理由の一つと考えられる」6件
- 「自殺の理由とは考えられない」3件
- 「理由と考えられるか否かが不明など」2件
と分類された。「いじめがなかったとされた」17件がある。「現時点でも特定できていない」「係争中」「再調査中」もある。
6件は、遺族が損害賠償訴訟を起こしたが、いじめ自殺が認定されなかったものがあり、いじめと自殺の因果関係は認められないとされた。
自殺は、ある出来事があって、種々の要因が複合してうつ病になり、それがうつ病とは自覚されないうちに、治療を行なわないでいると、他の要因も影響して自殺するようである。いじめが一つの要因であっても、時期がかなりずれていると、関係が全くないように見えてしまう。たとえば、いじめにあって、よく調査せず対策をとらずに、不登校が1年、2年になり、うつ病が深まり、自殺すれば、いじめと自殺の関係づけは困難になる。
早期に介入すれば、子どもの自殺は防止できる。子どもの、いじめ、他の原因による不登校、自殺を防止するための対策をとってほしい。学校が、子どもにとって、いついじめの被害者になるかわからない不安な場所であるなんて、不幸だ。子どものその不安、緊張におおわれた心が、脳の感情機能の過敏性をもたらし、青年期になった時に、種々の心の病気や非行犯罪の増加に影響する。学校で、いじめ防止、自殺防止、心の健康についての教育を充実してほしい。
( 0701-004 )